• ドローンの農薬散布に必要な資格や免許は?飛行に許可は必要?

    ドローンを導入することで得られるメリットを知り、実際に運用を検討し始めている人も多いのではないでしょうか?

    導入と運用にあたって、現実的にどのようなプロセスが必要になってくるのか。今回はドローン農薬散布を行う上で必要な資格や免許、各種申請事項などを解説していきます。

    ドローン運用までの流れ

    ドローン運用までの流れと必要になる各種申請事項

    ドローンを使用した農薬散布を行うためには、下図にある1~7の流れに沿った運用を行う必要があります。

    実際に資格取得し導入を開始した後は、農業用ドローンを運用するために毎年3〜7を繰り返すことになります。

    図「ドローン運用までの流れと必要になる各種申請事項」

    ドローン運用までの流れと必要になる各種申請事項

    産業用マルチローター技能認定とは?

    まずは「オペレーター」になる必要がある

    ドローンを飛行させる場合、趣味であれば免許や資格は必要ありません。

    ですが、畑や圃場で農薬散布を行うなど、事業の一環としてドローンを飛行させる場合は産業用マルチローター技能認定に合格し「オペレーター」になる必要があります。

    これは農林水産省が策定している「無人航空機利用技術指導指針」にて、検定に合格したオペレータのみ農薬散布ドローンを操縦する資格がある旨が記載されているためです。

    現実には、機体購入は技能認定を前提として販売されているケースがほとんどなので、必然的に産業用マルチローター技能認定を受けることになるでしょう。

    資格取得には教習施設での受講が必要

    資格を取得する際は、農林水産航空協会が指定している産業用マルチローター教習施設にて、操作実技教習及び学科教習を修了する必要があります。

    農薬散布ドローンの操縦士として農薬の取扱いや、ドローン機体の機能性能についての知識などを履修後、技能認定に合格することで晴れてオペレーターとしてドローンの操縦資格が与えられるというのが大まかな流れです。

    産業用マルチローター技能認定はドローン機体によって実技教習や学科講習が異なります。

    複数のドローン機体を運用する場合、機体種別が変わるとその都度オペレーター試験を受ける必要があるので注意が必要です。

    認定教習施設について

    技能認定が取得できる施設

    認定教習施設は必ず農林水産航空協会が指定している施設を選ばなければなりません。

    認定施設には、資格取得だけでなく機体の販売、教習、メンテナンスをセットでサポートしているところもあります。

    以下URLからドローン機体ごとの認定施設を検索することができます。

    ドローン機体は決して安い買い物ではないので、アフターフォローも重視した上で認定施設を選ぶと良いでしょう。

    ◆産業用マルチローター教習施設
    http://www.j3a.or.jp/business/multirotor.html

    資格を取得するまでにかかる日数や費用は?

    資格取得までにかかる日数は、無人ヘリコプター操縦経験者であれば最短で2~3日、未経験者は最短で5日のカリキュラムが多いようです。

    費用に関しても認定施設や取得コースによって変りますが、19万〜35万のスクールがスタンダードになっています。

    取得費用が安価に抑えられる施設はサポート体制が手薄なケースもあるので、十分に考慮して認定施設を選びましょう。

    空中散布を実施する際に必要な届出とは?

    国土交通省に提出する届出

    国土交通省提出する届出には、表「ドローン運用までの流れと必要になる各種申請事項」において、3-1の「無人航空機の飛行に係る許可・承認書 」が該当します。

    安全に影響を及ぼすおそれのある空域での飛行、落下した場合に地上の人や物に危害を及ぼす恐れが高い空域での飛行をする場合、国土交通大臣の許可を申請する必要があります。

    また、危険物の輸送および物件投下する場合も許可を申請する必要があるので、農薬散布の際は散布ごとに許可申請を行うのが必須事項となっています。

    農林水産航空協会や都道府県協議会に提出する届出

    農林水産航空協会や都道府県協議会に提出する届出には、上図「ドローン運用までの流れと必要になる各種申請事項」において、2-1の「機体登録書」、3-2の「事業計画書」、6-1の「事業報告書」、6−2の「事故報告書」の4つの届出が該当します。

    「機体登録書」は農薬散布に使用するドローン機体の情報を登録するために必要な届出です。また、この登録を済ませたドローン以外を使用した散布は認められていないので、運用の際は注意が必要です。

    「事業計画書」や「事業報告書」は実際に農薬散布を実施する時期や場所、ドローンを操縦するオペレーター、ドローン機体の登録番号、散布量などの情報を書面で提出します。

    「事故報告書」は人身事故や物損事故、墜落事故。農薬事故などが起こった際に提出する届出で、事故発生後速やかに提出しなければなりません。

    各都道府県や自治体に提出する届けでは、地域によって様式や提出期限が異なるケースがあるので、提出先の窓口に一度問い合わせをしておくと良いでしょう。

    空中散布で使用できる農薬には規定がある

    農薬散布を行う上で使用する「農薬」について

    農薬を扱う上で忘れてはならないのが農薬取締法の存在です。

    農薬は農薬取締法によって登録が義務づけられており、登録のないものに関しては製造、販売、使用が禁止されています。

    また、登録されている農薬であっても、農薬容器に貼付されている「表示事項」を守った上で使用しなければなりません。

    ドローンを使用した空中農薬散布を行う場合、「無人航空機による散布」という使用方法で登録されている農薬のみを使用することになります。

    ドローン用の農薬については、農薬インデックスサイト内の「産業用無 人航空機用農薬」のデータベースを活用することできます。

    ◆農薬インデックスサイト
    http://www.agro.jp/

    無人航空機(ドローン)用農薬の注意点

    「無人航空機による散布」という使用方法で登録されている農薬は、H30年3月時点で271錠存在しており、ドローン農薬散布の普及と共に農薬登録数も拡大しています。

    地上散布用農薬は希釈倍率を1000~2000倍で使用するのに対し、ドローン散布用農薬は希釈倍率8~16倍で使用するため、地上散布用の農薬に比べ高濃度な農薬となります。

    そのため、散布の際は学校や病院等の公共機関、地域の居住者に対して事前周知を徹底すると共に、散布当日の天候や風向きなどに十分注意しながら作業をする必要があります。

    ドローン農薬散布にはガイドラインが存在する

    重要な2つのガイドライン

    農林水産省と国土交通省では、ドローン農薬散布を行う上での方針が記載されたガイドラインを発行しています。

    実際にドローンを使用した農薬散布をする際は、この2つのガイドラインをチェックしながら届出を行う必要があるので、導入を検討している人は事前に確認しておくとよいでしょう。

    ◆ 国土交通省「航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

    ◆ 農林水産省「無人航空機(無人ヘリコプター等)に関する情報」
    http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120507_heri_mujin.html

    まとめ

    農林水産省が発行しているガイドラインはあくまで「指導指針」であるため、法的な拘束力がないと言われています。

    ですが、ドローン用の農薬は高濃度なので近隣の人々や作物に多くの影響を与える可能性があります。

    事業としてドローンを利用した農薬散布を検討している場合、ガイドラインに沿った運用をすると共に、運用の第一歩として技能認定資格の取得をする必要があるでしょう。

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